牛宮城の業績がヤバイ!?現役の経理財務マネジャーが分析!

財務分析
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想定読者

この記事の想定読者は以下の通りです。

  • 「牛宮城」が儲かる見込みがどうかを知りたい。

このような疑問を持つ読者様に、牛宮城の業績見込みについて解説していきます。

記事の信頼性

この記事は、上場企業で開示書類の作成経験がある筆者が、宮迫博之さん等が開示している一次資料を元に推計しつつ、足りないデータは競合他社の有価証券報告書を参照してに記事を作成しています。

概要

宮迫博之さんが開業を目指している焼肉屋さん「牛宮城」。

堀江貴文さん等、多くの経営経験者が「やめたほうが良い」といっている当該事業。

はたして、開業するべきなのでしょうか。

現役の経理財務マネジャーである筆者が経営状況を予測し

利益が出るのか否か

について記事を書いていきます。

牛宮城の業績予測

売上高の推計

まず、一次資料を元に売上高を推計していきます。

牛宮城はすでに食べログに情報を登録しています。

焼肉 牛宮城 (渋谷/焼肉)
★★★☆☆3.57 ■【渋谷で個室で焼肉】極上のタンと極上のハラミで感動をお約束!!【web24時間受付中】 ■予算(夜):¥10,000~¥14,999

この情報によると座席数は80座席となっています。

この座席数80を元に売上高を推計していきます。

2022年3月10日追加情報

2022年3月10日に公開されたYoutube動画にて、卓数が以下の通りであると開示されました。

こちらから、焼肉席が12卓、すきやき席が6卓で、合計18卓であることがわかりました。

動画を見る限りですと1卓4名~6名が定員であることが予想されますので、定員の総数は72名~108名であると予想します。

上記で事前に予想した80座席という数字との差が僅少であるため、座席数は80座席という前提で推計を進めていくこととします。

祝祭日と平日による分岐

売上高を推計するために、365日の営業日数を祝祭日と平日に分岐します。

一般的にカレンダー通りに休みとなる会社の年間休日数は約120日です。

よって、祝祭日は120日、平日は245日とします。

祝祭日の売上高

祝祭日の売上高を推計していきます。

再び食べログの資料から11:30から24:00となっています。

これを以下のように分類します。

  1. ランチ営業    11:30~14:00
  2. スキマ時間営業  14:00~18:00
  3. ディナー営業   18:00~22:00
  4. ディナー後の営業 22:00~24:00

ランチ営業

ランチ営業の稼働率は70%と推計します。

また、座席に回転数は1回転(ランチ営業中は1回転)とします。

さらに、ランチ営業時の単価は1,500円とします。

以上から、ランチ営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×1回転×70%×1,500円×120日=10M

スキマ時間営業

スキマ営業の稼働率は10%と推計します。

また、座席に回転数は4回転(1時間に1回転)とします。

さらに、客単価1,500円とします。

以上から、スキマ時間営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×4回転×10%×1,500円×120日=5.7M

ディナー営業

ディナー営業の稼働率は70%と推計します。

また、座席に回転数は1.3回転(4時間で1.3回転)とします。

さらに、客単価は8,000円とします。

以上から、ディナー営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×1.3回転×70%×8,000円×120日=69.8M

ディナー後営業

ディナー後営業の稼働率は10%と推計します。

また、座席に回転数は1回転とします。

さらに、客単価は8,000円とします。

以上から、ディナー後営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×1回転×10%×8,000円×120日=7.7M

祝祭日における売上高まとめ

祝祭日における売上高をまとめると以下の通りとなりました。

ランチ営業・・・・10M

スキマ時間営業・・5.7M

ディナー営業・・・69.8M

ディナー後営業・・7.7M

以上を合計すると、祝祭日における売上高は以下の通りです。

93.2M

平日の売上高

次に平日の売上高を推計していきます。

祝祭日と同様、以下の時間ごとに売上高を推計します。

  1. ランチ営業    11:30~14:00
  2. スキマ時間営業  14:00~18:00
  3. ディナー営業   18:00~22:00
  4. ディナー後の営業 22:00~24:00

ランチ営業

ランチ営業の稼働率は70%と推計します。
※祝祭日と同じ稼働率としました。理由は、祝祭日の人手と平日のビジネスマンのランチ利用を同程度と推計したためです。

また、座席に回転数は1回転(ランチ営業中は1回転)とします。

さらに、ランチ営業時の単価は1,500円とします。

以上から、ランチ営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×1回転×70%×1,500円×245日=20.5M

スキマ時間営業

スキマ営業の稼働率は5%と推計します。

また、座席に回転数は4回転(1時間に1回転)とします。

さらに、客単価1,500円とします。

以上から、スキマ時間営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×4回転×5%×1,500円×245日=5.8M

ディナー営業

ディナー営業の稼働率は40%と推計します。

また、座席に回転数は1.3回転(4時間で1.3回転)とします。

さらに、客単価は8,000円とします。

以上から、ディナー営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×1.3回転×40%×8,000円×245日=81.5M

ディナー後営業

ディナー後営業の稼働率は5%と推計します。

また、座席に回転数は1回転とします。

さらに、客単価は8,000円とします。

以上から、ディナー後営業の売上高は以下の通りとなります。

80座席×1回転×5%×8,000円×245日=7.8M

平日における売上高まとめ

祝祭日における売上高をまとめると以下の通りとなりました。

ランチ営業・・・・20.5M

スキマ時間営業・・5.8M

ディナー営業・・・81.5M

ディナー後営業・・7.8M

以上を合計すると、祝祭日における売上高は以下の通りです。

115.6M

年間売上高

祝祭日および平日の売上高の合計値は

209M

となりました。

次に費用を推計していきます。

費用の推計

売上原価

売上原価は簡易的に焼肉等、売上を立てるための仕入としました。

例えば、焼き肉、お酒等の仕入れを売上原価としました。

また、この仮定に立てば売上原価は売上高ととも比例的に上がっていくため、売上高の比率として計算することができます。

今回は、焼肉屋を運営している上場企業「あみやき亭」の売上原価/売上高比率である38%を利用しました。

こうすると、売上原価は

売上高209M×38%=79M

このように推計できます。

まず、宮迫博之さん等が開示している一次資料・一次情報をまとめていきます。

人件費

次に人件費を推計をしていきましょう。

人件費は、以下ように分類します。

  • 正社員の給与
  • パート・アルバイトの給与
正社員の給与

正社員の数は、

6人※1

と推計します。

正社員の平均年収を400万円(法定福利費を含む)とすると、2021年の正社員の給与は以下の通りです。

6人×400万円=

24百万円

このように推計します。

※1:正社員数の推計根拠

正社員数は以下を前提条件として算定しました。

  • 店舗の管理者として、常に正社員2名(厨房およびホールを管掌)が店舗にいる。
  • 365日営業。
  • 正社員は週休2日制
  • 営業時間は11時~24時の13時間。しかし、前後1時間で仕込み、片付けのため労働時間は1日15時間。

以上が前提条件です。

1日15時間の営業をホール、厨房各一名で回すのは無理があるため、合計4名による交代制と仮定する。

こうすると、1週間で必要となる人日は、

1日4人日×7日=28人日

そして、正社員が週休2日制とすると正社員一人当たりの1週間で捻出できる人工は5人日。

以上から必要となる正社員数は

28人日/5人日=約6人

と推計しました。

パート・アルバイトの給与

パート・アルバイト数は、人数ではなく営業時間と必要営業人数で計算します。

まず、厨房は2名。他、ホールで5名とします。

これで必要となるパート・アルバイトは合計7名。

営業時間は11時~24時の13時間ですが、正社員同様、前後1時間に仕込み、片付けを加味して、15時間働くと仮定します。

この結果、人件費は

7名×15時間×365日×1,200円(時給単価)=46万円

46百万円

と推計します。

人件費のまとめ

人件費の合計は以下の通りです。

  • 正社員給与・・・24百万円
  • 他給与・・・・・46百万円

以上より、人件費の合計は

70百万円

と推計されます。

※人件費は閑散する時間帯に人数を絞ればもう少しコストを下げられる可能性があります。

家賃について

家賃はこちらの動画で「月280万円」であることが開示されています。

家賃はこの情報を確定値とします。

以上から年間の家賃は

月280万円×12か月=約34百万円

以上と推計します。

内装工事について

内装工事はすでに「約3千万円」をかけているとのことです。

また、床が滑るという致命的な欠陥工事があったため、さらに工事が必要とのこと。

追加工事代金は1千万円と推計します。

追加工事代金を踏まえて、改修工事代金は多めに4千万円と推計します。

ただ、この4千万円はそのまま費用になるのではなく、以下の通り減価償却費として費用化されます。

改修工事代金にかかる減価償却費

この改修工事代金4千万円は、「減価償却費」として費用計上されます。

※減価償却費・・・工事代金等、1年以上耐用年数があるもの。費用計上は耐用年数に応じて決まる。

改修工事の耐用年数は10年とします。

耐用年数が10年の場合、かつ償却方法を定額法(耐用年数の期間で減価償却資産を割る方法)とみなします。

この場合、年間の費用は

4百万円

となります。

冷蔵庫、冷凍庫等焼き肉屋に係る器具備品

焼き肉屋さんを営業するためには冷凍庫、冷蔵庫等、器具備品も必要となります。

業務用の冷蔵庫等は価格も高いため、全部で1千万円と推計します。

器具備品の減価償却費

器具備品は本来は定率法という償却方法を利用します。

ただ、今回は計算の簡略化のため定額法で簡便的に算定します。

また、耐用年数も暫定的に10年とします。

この場合、年間の償却費は1百万円となります。

いよいよ最終結論!牛宮城ってヤバイの?

さて、売上高と費用の推計が完了しました。

これまでに推計した売上高と費用を反映した結果、牛宮城の簡易的なP/L(損益計算書)はこのようになりました。

2022年3月

2023年2月期
予測値
備考
売上高209
費用売上原価79※売上高の38%
 あみやき亭と同程度の売上原価と仮定。
人件費70推計済
賃料34推計済
広告宣伝費Youtube動画で賄う。
減価償却費内装工事に係る償却費
減価償却費器具備品に係る償却費
水道光熱費あみやき亭と同程度の
売上高の4%と仮定。
消耗品費 あみやき亭と同程度の。
売上高の4% 。
10その他経費
費用合計204
営業利益5M
(単位:百万円)
※「あみやき亭」は上場している焼き肉店を運営している会社です。
 上場会社ですので、決算の情報を開示しています。

以上から、

営業利益が5百円となりました。

分析したわかったこと

想定内ではありましたが、やはりこれだけ大箱の焼肉店となると賃料および人件費の額が大きいため経営は相当困難と想定されます。

ただ、Youtubeによる発信力という強みがあるため、広告宣伝費は他社比較で有利となるでしょう。長期的にお店が繁盛するためには集めた顧客に対して、どのように良質なサービスを提供しリピーターを獲得できるかがポイントになると思われます。

そのためには、売上原価(つまり仕入れ額)を抑えつつ、良質な肉を仕入れることができるか、試食会のように肉の管理がザルになり肉の品質を下げることなく提供できるかがポイントになると考えます。

また、上記のP/Lによって堀江貴文さんが以下の言葉に対して「それじゃ儲からないでしょ!?」といっていた理由がわかります。

上記の分析の通り、原価率66%~68%で肉を提供すると確実に赤字になります。

この点を考慮して堀江さんは「儲からない」といっていた訳です。

その他考察

スポンサーがつく

Youtube動画の中で、店舗のメニュー表などにスポンサー名を記載することでスポンサー料を徴収することで家賃がペイできる、という発言がありましたが短期はできたとしても長期的にこれを続けることは絶対に不可能です。

普通に考えればわかりますが、誰がたかだか年間数万人しか来客しない店舗に年間30M以上の広告宣伝費を投じるでしょうか。

はっきりいって絶対にありえません。

(参考)焼き肉店を運営している上場企業「あみやき亭の業績」

ここで、決算情報を開示している上場企業の経営成績を確認していきましょう。

業績推移

業績推移は以下の通りです。

あみやき亭の第26期 有価証券報告書より抜粋

このように、コロナの影響を受けた2020年4月~2021年3月期決算は、売上高が100億円近く減少し前期比の約70%と非常に苦戦したことが伺えます。

百戦錬磨の上場企業でさえこのように苦しんでいる業界で、「ど」がつく素人集団の牛宮城が経営を軌道に乗せることが果たして可能なのでしょうか。

引き続き記事をブラッシュアップしていきますので、ご期待いただければ幸いです。

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