本時期は執筆中です。
参考までにご覧下さい。
記事の信頼性
この記事は2023年11月時点で株式会社北の達人コーポレーションから公表されている一次資料を根拠として、現役の経理・財務マネジャーである筆者が仮説を加える形式で記載されています。
想定読者
この記事は以下の読者を想定して記載しています。
- 「チームX」で爆裂な結果を出した北の達人、その結果業績はどうなった?
- なぜ、そうような業績になったのか?
こういった疑問に答えます。
「チームX」の内容
「チームXの概要」
2023年11月15日に発売された「チームX」。
本書では、例えば「DX」=「D」:デジタル、「X」:変革と捉え、チームを変革することを「チームX」と定義しています。
そして、その「チームX」に取り組んだ結果、1年で「業績」が13倍となったその経過が生々しく語られています。
本書に表現された「業績」は、会社本体の「業績」にどう影響したのか?
では、この1年で「業績」が13倍となった結果、会社本体の業績はどのようになったのでしょうか。
まずは、この整理を行う上で欠かせない北の達人における「主集客」と「他集客」の定義の違いを見ておきましょう。
「主集客」と「他集客」の定義の違い
「主集客」:北の達人が自ら行った新規集客
「他集客」:アフィリエイター等、外部企業に委託した新規集客
本書は、このうち「主集客」における1日当たり新規購入者数をいかに増やしたかが語られています。
では、次に本書における成果を時系列で整理していきましょう。
時系列
以下に1日当たり新規購入者数がどのように推移したかを示します。
- 2020年当初、平均1,000人(「チームX」前全盛期)
- 2021年12月163人(「チームX」前全盛期の1/6)
- 2022年10月1,000人超え
- 2022年12月約2,000人(過去最高を更新)
- 2023年1月3,500人超え
このように、2021年12月→2023年1月という約1年で163人→3,500人超え、つまり
21倍
と目覚ましい結果となっています。
では、実際の業績はどうなったのでしょうか。
次に北の達人が公表している有価証券報告書から過去5年間の業績を見ていき、その成果を確認していきましょう。
過去5年業績と「チームX」の成果比較
過去5年業績
まずは過去5年業績を見ていきましょう。
こちらは有価証券報告書から抜粋した北の達人の過去5年分の損益計算書です。
第18期 2019年2月期 | 第19期 2020年2月期 | 第20期 2021年2月期 | 第21期 2022年2月期 | 第22期 2023年2月期 | |
売上高 | 8,312 | 10,093 | 9,270 | 8,739 | 8,725 |
(広告宣伝費) | 3,077 | 2,748 | 2,681 | 2,184 | 3,487 |
営業利益 | 1,861 | 2,915 | 2,031 | 2,086 | 520 |
経常利益 | 1,861 | 2,932 | 2,048 | 2,127 | 581 |
「チームX」の成果
次に先ほど整理した「チームX」の成果に決算期を加え、「チームX」の成果と損益計算書を比較できる形に変えます。
- 2020年当初、平均1,000人(「チームX」前全盛期)→19・20期
- 2021年12月163人(「チームX」前全盛期の1/6)→21期
- 2022年10月1,000人超え→22期
- 2022年12月約2,000人(過去最高を更新)→22期
- 2023年1月3,500人超え→22期
業績×チームX
過去5年業績とチームXの成果を比較した結果、以下のことが浮かび上がりました。
- チームX前の第18期~第21期まで営業利益が横ばいに。
- 第22期後半から「チームX」の成果が出始め、当該期10月に1,000人、その3か月後には3,500人超えの「ダブルギネス」を達成しているものの、第22期の経営成績は第21期より悪い。
「チームX」では、その成果が華々しく語られていますが、本業の儲けである営業利益はむしろ「チームX前」より
悪化
しています。
いったい、何が起こっているのでしょうか。
何が起きている?
これから北の達人に何が起こっているのかについて、一つずつ仮説を立てて考察していきます。
成果翌期説
まずは、「チームXの成果は第22期の後半で生じた。よって、第22期業績はその恩恵を受け切れておらず、恩恵は第23期に繰り越された」という「成果翌期説」を検証します。
検証を感想ではなく事実に基づいて行うべく、再び北の達人が開示している一次資料から第22期~第23期の業績を比較します。なお、第23期は決算期が2024年2月であり、2023年11月の本記事執筆時点では通期決算が未了です。したがって、すでに一次資料が公表されている第2四半期累計期間の数字で比較します。
第22期 2023年2月期 第2Q累計 | 第23期 2024年2月期 第2Q累計 | 第22期 2023年2月期 通期 | 第23期 2024年2月期 通期(予測) | |
売上高 | 4,308 | 7,823 | 8,725 | 15,843 |
営業利益 | 522 | 442 | 520 | 1,403 |
経常利益 | 540 | 454 | 581 | 1,405 |
・単体の開示に変えて連結を採用しているがその影響は軽微。
・第23期通期業績予想は第23期第2Q決算短信から抜粋。
検証結果
検証の結果、第23期は第2Q累計期間における売上高が前期比180%超と大幅に成長していることがわかりました。一方、本業の儲けを示す営業利益は前期比で減少しています。
また、第23期通期業績予想では、売上高は約2倍への成長、営業利益は3倍の成長と大幅な成長を見通しています。
以上から成果翌期説は一定の確からしさを得られました。
成果遅効説
配送遅延により売上高が後倒し?
事実矮小化説
本来、会社が上手く経営できているのであればシンプルに業績(主に損益計算書)で説明すれば良いのでは?
なぜ、重要KPIとはいえ、新規顧客獲得数の成果にフォーカスしたのか?
それは事実の矮小化(「事実の矮小化」の定義は、ここでは「嘘はいっていないが、重要な事実を述べていない」とします)しているのではないでしょうか。
しかし、これは、成果翌期説によって否定されました。
そもそも1日新規集客が3,500人になると売上高はどれだけ増えるのか?
1年売上高で考えてみる。
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