記事の信頼性
この記事は2021年1月1日現在、「経営セーフティ共済」の運営主体である「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」に開示されている一次資料を元に記載しています。
想定読者
この記事は以下の読者を想定して記載しています。
- 会社の財務担当者で節税策を知りたい人。
- コロナ禍の影響もあり、取引先の倒産リスクに備えたい人。
経営セーフティ共済の概要
経営セーフティ共済とは、「取引先が倒産してしまったときの資金支援」を目的とした制度です。
具体的には、取引先が倒産してしまった場合、以下のうちいずれか少ないほうの金額を上限として借入ができる、という制度です。
- 掛金の10倍(上限8,000万円)
- 回収困難となった売掛金債権等の額
例えば、取引先が以下のような倒産をした場合、共済金の借入を受けることができます。
- 法的整理
- 取引停止処分
- でんさいネットの取引停止処分
- 私的整理
- 災害による不渡り
- 災害によるでんさいの支払不能
- 特定非常災害による支払不能
逆に、「夜逃げ」の場合、借入を受けることはできません。
経営セーフティ共済の良い点、悪い点
良い点
取引先が倒産後、すぐに借入できる。
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html
筆者補足
取引先が倒産したからといって、金融機関はすぐに融資をしてくれるわけではありません。
取引先の倒産に備えて、共済金を積み立てておく財務戦略も選択肢の一つです。
掛金の税制優遇措置が受けられる。
掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できるので、節税効果があります。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html
筆者補足
掛金を損金算入できるのはうれしいですね。
現時点では利益は出ているものの、資金に余裕のある会社は共済に入ることを検討して良いでしょう。
解約手当金が受け取れる。
共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html
筆者補足
40か月以上掛金を納めることで掛金全額が戻ってくるので、リスクが少ない制度となっています。
悪い点
掛金を拠出した期の資金繰りは悪くなる。
まとめ
会社が40か月以上黒字を継続できる程度に事業が安定している状況であれば、経営セーフティ共済を検討しても良いでしょう。
経理・財務担当者の方は、ぜひ一度制度を理解していただき必要に応じてご活用いただければ幸いです。
コメント