マコなり社長が運営する株式会社divの2020年12月期の損益計算書の推計【2021年6月改定版】

財務分析
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記事の信頼性

この記事は2021年6月時点で株式会社divから公表されている一次資料を現役の経理・財務マネジャーである筆者が推計する形式で2020年12期における株式会社divの損益計算書を推計しました。

想定読者

この記事は以下の読者を想定して記載しています。

  • 株式会社divが赤字ってホント?
  • 株式会社divってつぶれるの?
  • これからTECH CAMPを受講したら、会社が潰れて支払ったお金が無駄にならないの?

こういった疑問に答えます。

株式会社divの事業内容

株式会社divの事業内容は大きく2つに分類できます。

ひとつは「TECH CAMP事業」、もうひとつは「UNCOMMON事業」です。

現在、主力事業は「TECH CAMP事業」で、「UNCOMMON事業」は2021年に開始した新規事業です。この記事では、2020年12月期の損益計算書を推計します。よって 「UNCOMMON事業」 の売上高の推計は省略します。

※未確定ですが、おそらくマコなり社長の「Youtube関連事業」および「Inside Stories事業」は株式会社divとは別法人(真子社長個人の会社)が運営主体と思われます。よって、「Youtube関連事業」および「Inside storys事業」は今回の分析から割愛しております。

「TECH CAMP事業」の分類

「TECH CAMP事業」はさらに以下の5つの事業分野に分かれています。

【個人向け】

  • TECH CAMPエンジニア転職
  • TECH CAMPプログラミング教養
  • TECH CAMPデザイナー転職※本記事では省略

【法人向け】

  • TECH CAMP人材紹介サービス
  • TECH CAMP法人研修サービス※本記事では省略

各事業分野の想定売上高は?

次に株式会社divが公表している一次資料から各事業分野の推定売上高を推計します。

※TECH CAMPデザイナー転職およびTECH CAMP法人研修サービスについては、

  • 開示されている資料がないこと
  • 事業規模がそれほど大きくないと思われること

以上から割愛しております。

TECH CAMPエンジニア転職の推定売上高

「TECH CAMPエンジニア転職」事業の2018年12月期~2020年12月期の売上高を推計しましょう。

※TECH::EXPERTはTECH CAMPエンジニア転職の旧名です

まず、売上高の推計にあたり一次資料で公開される情報を整理します。

  • 「TECH CAMPエンジニア転職」(旧名:TECH::EXPERT)は2016年に事業開始。
  • 2018年→2019年に前年同期比355%受講生が増加。
  • 2020年6月現在で累計2,000名を超える転職決定実績がある

以上3点から、事業開始の2016年~2020年までの転職実績を以下と推計しました。

  • 2016年 10名
  • 2017年 100名(累計110名)
  • 2018年 250名(累計360名)
  • 2019年 900名(累計1,260名)(前年同期比360%)
  • 2020年 1,200名(累計2,460名)

そして、「TECH CAMPエンジニア転職」の平均単価は以下の一次資料から70万円と推計します。

  • 短期集中スタイル→648,000円
  • 半年間じっくりと学ぶ学習スタイル→848,000円

以上から、「TECH CAMPエンジニア転職」の2018年12月期~2020年12月期の推計売上高は、

2018年12月期

250名×70万円=1.8億円

2019年12月期

900名×70万円=6.3億円

2020年12月期

1,200名×70万円=8.4億円

と推計されます。

TECH CAMPプログラミング教養の推定売上高

次は「TECH CAMPプログラミング教養」事業の2018年12月期~2020年12月期の売上高を推計しましょう。

まず、売上高の推計にあたり、一次資料で公開される情報を整理します。

  • 「TECH CAMPプログラミング教養」(旧名:TECH::CAMP)は2014年に事業開始。
  • 2014年からの3年間で受講生は1万人を突破。※筆者補足:TECH CAMP全体と思われます。
  • 2018年→2019年は受講生は前年同期比149%増加している。
  • 2020年9月現在で累計受講者数は16,000名以上。

以上4点から、事業開始の2014年~2020年までの転職実績を以下と推計しました。

  • 2014年 100名
  • 2015年 2,000名(累計2,100名)
  • 2016年 2,400名(累計4,500名)
  • 2017年 3,500名(累計8,000名)(2,000名はTECH CAMPプログラミング転職と推計)
  • 2018年 3,000名(累計11,000名)
  • 2019年 4,500名(累計15,500名)(前年同期比150%増)
  • 2020年 4,000名(累計19,500名)(コロナの影響で前期比で10%程度減少したと推計)

「TECH CAMPプログラミング教養」の単価は以下の通りです。

  • 入会費用 198,000円
  • 月額料金 19,800円

平均入会月を3か月と仮定すると、受講者一人当たりの単価

198,000円+19,800円×3か月=約26万円

となります。

以上から、「TECH CAMPプログラミング教養」の2018年12月期~2020年12月期の推計売上高は、

2018年12月期

3,000名×26万円=約7.8億円

2019年12月期

4,500名×26万円=約11.7億円

2020年12月期

4,000名×26万円=約10.4億円

と推計されます。

TECH CAMPの受講者数ついて

私は、上記のように2020年のTECH CAMPの累計受講者数は以下のように推計しました。

  • TECH CAMPエンジニア転職・・・・・約2,460人
  • TECH CAMPプログラミング教養・・・約1万9500人

この数値は、2021年1月4日に公表されたプレスリリースの数値(20,000名以上が受講)と比較しても違和感のない数値となっています。このことから、累計受講者数は妥当な数値となっていると想定しています。

divは日本最大級のプログラミングスクールを運営しています。未経験からでも最先端テクノロジーを習得できるスクール「テックキャンプ プログラミング教養」や、未経験からのエンジニア・デザイナー就職を叶える「テックキャンプ エンジニア転職」を通じて、人々が人生を変える機会を提供しています。これまでに20,000名以上が受講しています。

https://di-v.co.jp/press/20210105_uncommon/

「TECH CAMP 法人向けサービス」の分類

「TECH CAMP 法人向けサービス」は、以下の2つの事業分野に分かれています。

  • TECH CAMP人材紹介サービス
  • TECH CAMP法人研修サービス

※TECH CAMP法人研修サービスは、売上高が大きくないと推定されることから割愛いたします。

TECH CAMP人材紹介サービスの推定売上高

まず、TECH CAMP人材紹介サービス事業の2018年12月期~2020年12月期の売上高を推計します。

人材紹介事業を営む会社は、「人材サービス総合サイト」というサイトに転職者数等を記載する義務があります。人材紹介事業の売上高はその「人材サービス総合サイト」に記載された「就職者数」から推計します。

「人材サービス総合サイト」の内容はこちらです。

上記の情報は年度ベースになっていますが、簡略化のために

  • 平成30年度→2018年12月期
  • 平成31年度→2019年12月期
  • 令和2年度→2020年12月期

このように推計することとします。

また、表内の「判明せず」は就職者数に含めることとします(就職者数が平成30年度→平成31年度で2倍になっています。しかし、それほど急成長するとも思えないので、おそらく「判明せず」の割り振りの関係で増加した、と仮定しました)。そうすると、就職者数は以下の通りと推計されます。

  • 2018年12月期→約150名
  • 2019年12月期→約300名
  • 2020年12月期→約270名

また、紹介手数料率は以下のように定められています。

このことから、紹介手数料はエンジニアの想定年収を400万円とすると、紹介手数料率が35%なので140万円となります。

しかし、人材紹介事業には返金がつきものですので、実際の1紹介当たりの売上高はこの8割程度の100万円といったところでしょうか。

以上から、「TECH CAMP人材紹介サービス事業」の2018年12月期~2020年12月期の推計売上高は、

2018年12月期

150名×百万円=約1.5億円

2019年12月期

300名×百万円=約3億円

2020年12月期

270名×百万円=約2.7億円

と推計されます。

売上高のまとめ

一旦、ここで2020年12月期における推定売上高をまとめてみます。

  • 「TECH CAMPエンジニア転職」:8.4億円
  • 「TECH CAMPプログラミング教養」:10.4億円
  • 「TECH CAMP人材紹介サービス事業」:2.7億円
  • その他、本記事で割愛した事業:1億円

以上から2020年12月期における推定売上高は

22.5億円

と推計します。


この「22.0億円」という数値は、以下の記事からの乖離も少なく、それほど外していないと考えます。
※以下の参照記事では、2019年時点で月商2億円ほどとなっています。年間売上高は24億円となりますので、推計値「22.0億円」はそれなりに近しい数値なのではないでしょうか。

現在の月商は2億円ほど。

2019年5月20日、BRIDGEより
https://thebridge.jp/2020/05/div-series-c-round-funding

ここまでは売上高の推計のみを書いてきました。

ここからは、費用を推計していきます。

費用を推計することで、2020年12月期の利益を推計することができます。

株式会社divの2020年12月期の費用は?

人件費の推計

まずは、費用のうち人件費を推計していきましょう。

人件費は、以下の通り分類します。

  • 役員報酬
  • 正社員の給与
  • パート・アルバイトの給与
役員報酬

株式会社divの役員(および執行役員)構成は以下の通りです。
なお、かっこ内は想定する役員報酬等です。

  • 代表取締役 :真子就有(3,000万円)
  • 取締役 :新保麻粋(1,500万円)
  • 取締役 :内藤誠(1,500万円)
  • 取締役CFO:石原圭(1,500万円)
  • 社外取締役 赤羽雄二(200万円)
  • 社外取締役 深澤優壽(200万円)
  • 常勤監査役 三重野研一(500万円)
  • 社外監査役 町井徹(200万円)
  • 社外監査役 川口幸作(200万円)
  • 執行役員 :張ヶ谷拓実(1,000万円)
  • 執行役員 :平田裕哉(1,000万円)

以上より、役員報酬等は合計1億800万円と推計します。
ここに法定福利費が15%程度かかるため、法定福利費を含めた役員報酬は

1.2億円

と推計します。

正社員の給与

正社員の数は、以下の資料を元に推計することとします。

参照URL:https://smarthr.jp/case/div/

こちらの情報をもとに2018年~2020年の従業員数を以下の通り推計しました。

  • 2018年末:100名(2018年7月時点で60名→2018年の月平均従業員数を70名と推計)
  • 2019年末:300名(2019年の月平均従業員数を200名と推計)
  • 2020年末:600名(2020年の月平均従業員数を450名と推計)

また、このうち10%がパート・アルバイトと仮定します。

正社員の平均年収を350万円(法定福利費を含む)とすると、2018年~2020年の正社員の給与は以下の通りです。

2018年は

70人×90%×350万円=

2.2億円

2019年は

200人×90%×350万円=

6.3億円

2020年は

450人×90%×350万円=

14.1億円

このように推計します。

パート・アルバイトの給与

パート・アルバイト数は、正社員数で推計した通りとします。

パート・アルバイトの平均年収を150万円(法定福利費を含む)とすると、2018年~2020年のパート・アルバイトへの給与は以下の通りです。

2018年は

70人×10%×150万円=

0.1億円

2019年は

200人×10%×150万円=

0.3億円

2020年は

450人×10%×150万円=

0.7億円

と推計します。

人件費のまとめ

2020年度の人件費の合計は以下の通りです。

  • 役員報酬・・・・1.2億円
  • 正社員給与・・・14.1億円
  • 他給与・・・・・0.7億円

以上より、人件費の合計は

16億円

と推計されます。

広告宣伝費の推計

次に広告宣伝費の推計をしていきます。

広告宣伝費は、マコなり社長がYoutubeで発信をしている影響でかなり低く抑えられているのではないでしょうか。

これだけ知名度があれば、オーガニック検索でも集客ができるのではないでしょうか。

広告宣伝費は、やや保守的に売上高の25%程度の

4億円

と推計します。

地代家賃、減価償却費、固定資産について

次に、地代家賃、減価償却費、固定資産の内容を検討していきます。

まず、官報によると2019年12月末時点の固定資産は

7.3億円

となっています。

地代家賃、減価償却費を算定するためにまずはこの7.3億円の内容を分解する必要があります。

固定資産の内訳は?

固定資産の内訳は以下が考えられます。

  • 本社・教室の敷金等
  • 本社・教室の改修工事
  • ソフトウエア開発
本社・教室の敷金等

オフィスの敷金相場は、10~40坪で賃料の3~6か月分、50~100坪以上は賃料の6~12か月分です。

また、2020年12月末時点において、株式会社divが使用している物件は以下の通りです。

  • 本社
  • 渋谷新大宗ビル校(2021年3月を以て閉校)
  • 渋谷フォンティスビル校
  • 渋谷フレーム神南坂校
  • 渋谷アジアビル校
  • 新宿校(2021年3月を以て閉校)
  • 池袋校(2021年3月を以て閉校)
  • 丸の内校
  • 東京大手町校
  • 名古屋栄校
  • 名古屋駅前校(2021年3月を以て閉校)
  • なんばスカイオ校
  • 近鉄難波ビル校
  • 梅田校(2021年3月を以て閉校)
  • 中州校
  • 天神校

そして、各々物件の床面積と坪単価から推計される賃料および敷金等は以下の通りです。

物件坪数坪単価(推計)推計月額賃料推計年額賃料敷金等
本社180坪18,500円3.5M40M27M
新大宗ビル校※40坪23,000円1M11M7M
渋谷フォンティスビル校133坪25,000円3.3M40M27M
渋谷フレーム神南坂校200坪28,000円5.6M67M45M
渋谷アジアビル校89坪28,000円2.4M30M20M
新宿※60坪15,000円6.2M74M49M
池袋※40坪15,000円0.6M7M5M
丸の内412坪15,000円6.2M74M49M
大手町44坪16,000円0.7M8M5M
名古屋栄町※50坪15,0000.7M9M6M
名古屋駅前※30坪7,000円0.2M2M2M
なんばスカイオ202坪12,000円2.4M29M19M
近鉄難波ビル校※50坪15,000円0.7M9M6M
梅田※40坪7,000円0.3M3.3M2M
中州※90坪22,000円2M24M16M
天神※100坪15,000円1.5M18M12M
合計32M383M255M
坪単価は近隣物件の坪単価から引用しています。
また、敷金は賃料の8か月分としています。
※は一次資料が見つからないため推計です。

上記の表から、敷金等の推計額は

2.5億円・・・固定資産①

と推計されます。

また、本社および教室の数が16となっています。
各場所に平均2千万円の改修工事をかけたとすると、

16事業所×2千万円=

3.2億円・・・固定資産②

これが固定資産計上として計上されます。

敷金(固定資産①)が2.5億円、改修工事(固定資産②)が3.2億円となると、固定資産合計が7.2億円なので残り1.5億円が不明です。

この不明分は固定資産1.5億円は耐用年数10年で償却率を0.2と仮定します。
こうすると、2020年12月期の減価償却費は3千万円となります。

また、固定資産②3.2億円の耐用年数10年で償却率を0.2と仮定します。
こうすると、2020年12月期の減価償却費は6千万円となります。

以上より、減価償却費の合計額は

0.9億円

と推計されます。

また、上記の表より賃料は、

3.8億円

と推計されます。

株式会社divの2020年12月期の費用まとめ

以上から、費用をまとめると以下のようになります。

  • 人件費・・・・・ 16億円
  • 広告宣伝費・・・ 4億円
  • 減価償却費・・・ 0.9億円
  • 賃料・・・・・・ 3.8億円
  • 採用手数料・・・・0.3億円(2019年末→2020年末で250名増。一人当たりの採用手数料を0.1M)と推計→テックキャンプ事業に従事するメンターは、テックキャンプ卒業生がそのまま就任させることで採用手数料を抑えている、という仮定をおいています。
  • 他・・・・・・・ 2億円

以上より、費用合計は

27億円

と推計されます。

いよいよ最終結論!株式会社divってヤバイの?

さて、売上高と費用の推計が完了しました。

これまでに算定した売上高と費用を反映した結果、2020年12月期の株式会社divの簡易的なP/L(損益計算書)は以下の通りです。

2020年12月期
予測値
売上高22.5
費用人件費16
賃料3.8
広告宣伝費
減価償却費0.9
採用手数料0.3
費用合計27.0
営業利益▲4.5
(単位:億円)

以上から、

営業利益が▲4.5億円となりました。

分析してわかったこと

2020年12月期の株式会社divのP/Lは、上記の分析結果以外で相当大きな事象が生じない限り

数億円単位の営業赤字

は、ほぼ確実でしょう。

ただ、

2020年5月に18.3億円の資金調達済

であるため、単年度で数億円単位の赤字が生じたからといって、すぐに倒産することはないでしょう。2021年12月期に営業利益がトントンであれば、2022年12月期以降は飛躍の時になりそうですね。

マコなり社長、引き続き応援しております!

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