記事の信頼性
この記事は2020年11月25日に公表された株式会社divの官報等を一次資料とし、現役の経理・財務マネジャーである筆者が推計を加える形式で記載しました。
想定読者
この記事は以下の読者を想定して記載しています。
- これからTECH CAMPを受講したら、会社が潰れて支払ったお金が無駄にならないの?
- TECH CAMPの財務状況でどうなっているの?
こういった疑問に答えます。
2020年12月期B/Sの作成方針
この記事は、
- すでに官報で公表されている2019年12月期のB/Sを起点として、
- 2020年12月期の株式会社divの重要な要素を加え
- 2020年12月期末のB/Sを推計。
この方針に基づいて作成していきます。
※2019年12月期末のB/Sの考察は以下のリンク先をご参照下さい。
2020年12月期のB/Sを推計する上で重要となる要素とは?
2020年12月期のB/Sを推計する上で重要となる要素は以下の3つです。
- 2020年3月に実行された出資および借入金
- 2020年12月に実行された減資
- 2020年12月期のP/L
では、この各要素について一つ一つ内容を確認していきましょう。
2020年3月に行った出資・借入の内容とは?
まず、2020年3月に行われた18.3億円の出資・借入の内容を推計していきましょう。
株式会社divの登記簿によると、2020年3月17日に資本金の額が
3.2億円→11.6億円
と+8.4億円増加しています。
通常、出資による資本金の額の増加は50%とし、残り50%を資本準備金として計上します。
このことから、2020年3月の出資によって、
資本金+8.4億円、資本準備金+8.4億円→合計16.8億円
以上の調達に成功しているはずです。
18.3億円のうち、1.5億円は商工中金等からの借入金でしょう。
この出資および借入金の状況を仕訳で整理すると、以下の通りとなります。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方科目 |
現預金 | 18.3 | 短期借入金 | 0.3 |
長期借入金 | 1.2 | ||
資本金 | 8.4 | ||
資本剰余金 | 8.4 |
2020年12月に行われて減資の内容とは?
次に、2020年12月に行われた減資の内容を確認しましょう。
減資の内容は以下の通りです。
減資とは、簡単にいうと資本金の額を減らすことです。
資本金の額は、2019年12月末時点で3.2億円ありました。
そこに、上記で記載した出資により8.4億円増加しました。
以上から、減資前の資本金は3.2億円+8.4億円=11.6億円であることがわかります。
ここから、上記の官報の通り10.6億円を減資していることから、現在の資本金は
11.6億円ー10.6億円=1億円であることがわかります。
2021年1月時点で公表されている求人情報においても、2020年12月末時点の資本金は1億円と記載があるため、まず間違いないでしょう。
この減資の状況を仕訳で整理すると、以下の通りとなります。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方科目 |
資本金 | 10.6 | 資本剰余金 | 5.6 |
利益剰余金 | 5.0 |
※減資というとネガティブな印象を持たれる方も多くいらっしゃるかと思いますが、仕訳を見ると「足したことではない」ということがわかります。
別に現預金が出ていった訳ではないので、全く問題ありません。
2020年12月期のP/L
2020年12月のP/Lについては、以下をご参照下さい。
このP/Lの状況を仕訳で整理すると、以下の通りとなります。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方科目 |
諸収益 | 31.3 | 諸費用 | 30.6 |
法人税等 | 0.2 | ||
利益剰余金 | 0.5 |
出資および借入金、減資、P/Lを踏まえた2020年12月期のB/Sは?
ここまで、以下の3つを2020年12月期のB/Sを重要な要素として話を進めてきました。
- 2020年3月に実行された出資および借入金
- 2020年12月に実行された減資
- 2020年12月期のP/L
そして、この3つによるB/Sの影響を仕訳でまとめると以下のようになります。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
現預金 | 18.3 | 短期借入金 | 0.3 |
長期借入金 | 1.2 | ||
資本金 | 8.4 | ||
資本準備金 | 8.4 | ||
資本金 | 10.6 | 資本剰余金 | 5.6 |
利益剰余金 | 5.0 | ||
諸収益 | 31.3 | 諸費用 | 30.6 |
法人税等 | 0.2 | ||
利益剰余金 | 0.2 |
次に、2019年12月31日時点のB/S(以下参照)に、この仕訳を反映します。
2020年12月期のB/S推計値
その結果、2020年12月期のB/S推計値は以下のようになります。
借方流固 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方流固 | 貸方科目 | 貸方金額 |
流動資産 | 現預金 | 28 | 流動負債 | 前受金 | 2 |
売掛金 | 2 | 短期借入金 | 2 | ||
他流動資産 | 2 | 買掛金 | 2 | ||
他流動負債 | 6 | ||||
固定資産 | 固定資産 | 7 | 固定負債 | 長期借入金 | 7 |
株主資本 | 資本金 | 1 | |||
資本剰余金 | 19 | ||||
資産合計 | 39 | 負債・純資産合計 | 39 |
最後に、このB/Sから何がわかるかをまとめていきます。
2020年12月期のB/Sからわかることとは?
資産合計および負債・純資産合計が
39億円
であると推計されます。
特に、現預金は
28億円
であり、財務の健全性は極めて高いといえるでしょう。
また、現預金が多いからといって負債が多いわけではなく、負債は
9億円
と現預金と比較すると少ない金額となっています。
まとめると、2020年12月期末においても、
株式会社divの財務健全性が高い状態
です。
これからTECH CAMPの受講を検討されている方は、安心して受講いただいて良い経営状態と考えられます。
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